国籍留保制度
外国で生まれた子供は、その国の制度によっては2つもしくは3つの国籍をもつことになります。日本の国籍法では、外国で生まれた重国籍となる子について、日本国籍を留保するかどうかを生後3ヶ月以内に届出なければなりません。1984年の国籍法改正以前には、生地主義国での出生のみを対象としていましたが、現行法ではすべての外国で生まれた重国籍の子を対象にすることに、適用範囲が拡大されました。
この届出をせずにいると、出生時に溯って日本国籍を失い戸籍も編成されず、出生や国籍喪失の事実も記載されることはありません。血統主義である日本もこうした点では生地主義的な扱いの傾向があります。しかしながら、外国で生まれた子供は自分の意志でその地の国籍を取得したわけではありません。外国に生まれても将来はまだどこに住むのかも分かりません。日本へ帰る可能性も大いに考えられます。親がその子の国籍を決めるのではなく、子供が将来その国籍を自分で選択することが出来るように日本国籍を保持しておく、そのために、国籍留保制度というものがあるのです。